11月末から12月に不意に進んだ、シリア北西部・トルコとの国境地帯を地盤としていた「シャーム解放機構(HTS)」の急速な伸長とアレッポそして首都ダマスカス掌握によるシリア内戦のひとまずの終結と、その後のシリアを中心とした地域大国の動きに注視しているが、なかなか包括的にまとめて発表する時間が取れない。

シリア内戦のこのような形での終結は、中東の戦略・地政学のある専門家との私的な会話では、「ベルリンの壁崩壊」に等しい影響を中東地域にもたらす重大事件とのことである。第2期トランプ政権の動きと相まって、米国が一歩も二歩も引いたところから、イスラエル・トルコ・サウジアラビア・イランといった地域大国やエジプトやヨルダンやUAEといった地域主要国が中心になった秩序が模索されていることは間違いない。

12月8日の首都陥落の直後の走り書きを『公研』の定期寄稿欄に掲載してもらっている。シリアをめぐる地域大国の関係の基本構図については、まずこちらを参照していただきたい。

池内恵「『シリアをめぐる闘争』は続く」『公研』2024年12月号

また、中東地域全体の連鎖的な動揺の構図は、『外交』に記事を掲載してもらっている。まだ施策の途中であるが、参照していただきたい。

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