中東の新しい地政学(後編1):「10月7日」以前に予見されていた未来/1948~2000
2025年2月16日

独立宣言に署名するダヴィド・ベン=グリオン。この建国に反発したアラブ諸国はイスラエルに攻め入った[1948年5月14日、イスラエル・テルアビブ](C)EPA=時事
2024年12月8日、シリアの反体制派は首都ダマスカスに殺到して凱歌をあげた。革命の瞬間である。それは、2011年の「アラブの騒乱」に始まったシリアの反政府運動が結実し、54年間続いたアサド家の専制が終焉した瞬間でもあった。この革命は、イスラエルの7正面作戦によるイランとヒズブッラーの弱体化、およびロシアのウクライナ侵攻の余波が連鎖してアサド政権軍の空洞化に波及したことで生じた。シリア革命は、これまで同国で軍事的プレゼンスを高めて戦略的利益を享受してきた超大国ロシアおよび地域大国イランの地政学的後退を決定的なものとし、同時に、イスラエルの攻撃で徹底的に破壊されたヒズブッラーはイランからの補給路が絶たれたことで当面は回復不能に陥った。そのことは本稿「前編1」で見てきた。
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