暗転したエジプトの東地中海「エネルギーハブ」構想:持続可能な供給源となりえるか
2025年2月18日

天然ガス供給に関する三者間覚書に署名するカドリ・シムソン欧州委員会エネルギー担当委員(左)、エジプトのターレク・エルムッラー石油相(右から二人目)、イスラエルのカリン・エルハラ・エネルギー相(右)。ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長(左から二人目)も立ち会った[2022年6月15日、エジプト・カイロで開催された東地中海ガスフォーラム(EMGF)の会合、肩書は当時](C)AFP=時事
2022年にエジプトはエネルギー市場における重要性を急速に高めた。2月に開始されたロシアのウクライナ侵攻は欧州諸国にエネルギーにおける「脱ロシア化」を迫り、2010年代からガス発見が相次いだエジプトやイスラエル、キプロスなどの東地中海諸国は、欧州に近いLNG(液化天然ガス)供給源として注目を集めた。
2023年10月に始まったガザ紛争では東地中海の重要性は変わらなかったものの、エジプトの「エネルギーハブ」構想の見通しは大きく変容することとなった。欧州へのLNG輸出国として期待されていたエジプトではガザ紛争の前後から国内エネルギー収支が急速に悪化し、2024年4月からは一転してLNG純輸入国となってしまっている。本稿ではエジプトにおけるエネルギー危機の背景を示したうえで、同国の「エネルギーハブ」構想の中長期的な見通しについて考察する。
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