石油増産を求めるトランプと協調減産を維持する中東産油国――対立か、蜜月の再来か
2025年2月26日

ロシアとの高官協議に出席したアメリカのマルコ・ルビオ国務長官(中央)とマイク・ウォルツ国家安全保障担当大統領補佐官(左)。右奥はスティーブ・ウィトコフ中東担当特使。ロシア側は両国が北極圏でのエネルギー協力でも協議したとも明かしている[2025年2月18日、サウジアラビア・リヤード](C)AFP=時事
2月18日にサウジアラビアの首都リヤードで、ロシアのウクライナ侵攻以降で初となる米露高官による直接的な会合が開催された。協議の内容はウクライナ和平案が中心的なものであったが、世界全体の原油生産量の4割を占める上位3カ国が一堂に会する機会になったこの会合は、ドナルド・トランプ政権にとって対話・協力すべき国がいずれであるかを示唆する強力なメッセージでもあった。会合に同行したロシア直接投資基金(RDIF)のキリル・ドミトリエフCEOは、ロシア北極圏におけるLNG(液化天然ガス)開発事業である「アークティック」での米国との合同プロジェクトの可能性についてもリヤードで協議したと明かしており、エネルギー分野での協力が国際情勢を動かす要因として再浮上しているようにも感じられる。
一方、仲介したサウジアラビアの反応は抑制的なものにとどまった。外務省からの声明では、会合は「世界の安全と平和を強化するサウジの努力の枠組みの中で実施されたもの」であり、「対話があらゆる国際危機を解決する唯一の手段であるとの信念」から行われたと説明しているが、会合で議論された内容には一切触れていない。2月12日にトランプ大統領がサウジアラビアで米露首脳会合を実施すると発言した際にも、これを歓迎する声明が出てきたのは丸一日以上経過した2月14日のことである。トランプのガザ所有発言のときには、発言からわずか1時間で非難声明を出したことを考えると、積極性に随分な差があると言えよう。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。