「トランプ関税」への懸念も韓国市場を直撃している[2025年2月28日、韓国・ソウルのハナ銀行本店ディーリングルーム](C)AFP=時事

 

尹大統領失職の可能性高まる

 韓国では、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾裁判が2月25日に結審し、3月中旬にも判決が出る見通しとなった。罷免が適当だと判断されれば大統領は失職、60日以内に新しい大統領を選ぶ選挙が行われることになる。

 弾劾裁判の行方を左右する主な争点は、①尹大統領の非常戒厳宣布の目的や手続きが不適当で憲法違反ではなかったか、②戒厳令で政治活動まで禁止したことは憲法違反ではないか、③軍と警察を動員し国会活動を妨害したことは戒厳令で認められた範囲を超えているのではないか、④軍が裁判所による令状なしで政府機関の捜査を行ったのではないか、とされる。すでに一部は違憲であることを裏付ける証拠があると言われており、罷免となる可能性が高いとの見方が大勢である。

不透明な大統領選の行方

 5月中旬までには行われる見込みとなった大統領選を展望すると、世論調査では野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が今のところ他の候補を大きく引き離してリードしている。しかしながら、李代表は昨年11月、前回の大統領選で虚偽の事実を述べたとして、公職選挙法違反で一審は有罪判決を受けている。現在、控訴中であるが、3月中にも判決が出る見通しであり、仮に再び有罪となれば上告するだろう。その場合、結論は3カ月以内、つまり6月中までに出る。つまり、大統領選前に有罪判決が出るリスクは相応に残ることになる。共に民主党は、李代表を本当に候補にするかどうか、難しい判断を迫られよう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。