第3部 ミサイルの下で(4) オデッサ、戦争と文化
2025年3月23日

オデッサ中心部の街並み。寒さのせいか人影は少ない(筆者撮影、以下すべて)
文化財が次々と被害を受けるオデッサで、その修復や再建はどうなっているのだろうか。被害を防ぐために急遽進められた世界遺産登録の効果は出ているか。文化行政を担当するオデッサ州政府文化民族宗教文化遺産保護副部長のオレーナ・ヴォロブヨヴァ(40)に会った。彼女が示したのは、極めて現実的な方針だった。
「修復は、人が住む建物を優先します」
勝手に捨てる場合も
言われてみると当然である。モノよりも人の命と暮らしが重要なのは言うまでもない。文化財は大切だが、人の暮らしがなければその保護もおぼつかない。
「文化財にも、中に人が住んでいるところとそうでないところがあり、前者の手当を早急にせざるを得ません。内部が使えなくならないよう、屋根と窓をまず修復します。世界遺産に登録されている地区内であっても、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の手続きを待っていると時間がかかる。市の手続きでさえ、修復計画を立てて入札して、などと規則通りにやっていると間に合いません。ある程度目をつぶってでも、どんどん進めざるを得ない面があります」
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