
40代前半のミラン氏(左端)は、産業空洞化、泥沼のイラク戦争、08年の金融危機などで疲弊する米国で思考形成期を送った世代だ[上院銀行委員会の公聴会で宣誓する面々。左からミラン氏、ジェフリー・ケスラー氏(産業・安全保障担当商務次官候補)、ウィリアム・プルテ氏(連邦住宅金融庁長官候補)、ジョナサン・マッカーナン氏(消費者金融保護局長候補)=2025年2月27日](C)AFP=時事
3月13日にドナルド・トランプ米政権の大統領経済諮問委員会(CEA)委員長に就任したスティーブン・ミランの論文が話題となっている。昨年11月にトランプの再選が決まった直後、米ヘッジファンド「ハドソン・ベイ・キャピタル」のシニアストラテジストという立場で発表した「A User’s Guide to Restructuring the Global Trading System」だ。高関税、ドル安で米製造業を復活させるとともに、強い基軸通貨ドルをもって世界に君臨するというトランプの願望を満たす政策案として、新たな多国間合意を提案している。無理がある内容だけにミランの論は世界の主流派エコノミストから批判されている。だが、注意すべきは、貿易と防衛を一体化して米国は国際システムを変えるべきだ、というその主張だ。「核の傘に入りたいのなら、高関税も新プラザ合意も受け入れろ」と迫られたら、日本は動きが取れない。
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