
3713人の乗客・乗員のうち感染者数は712人、死亡者数は14人。当時、中国国外における最大のクラスターとなった[ダイヤモンド・プリンセスに向かう防護服を着た人たち=2020年2月10日午後、横浜・大黒埠頭](C)時事
2020年2月初旬、中国での感染者は2万4000人を超え、急激に感染者が増えていた。死者数も累計500人近くとなり、中国武漢の医療現場などの混乱した状況が報道されていた。国内での感染確定例は20人を超えていたが、まだすぐに感染が拡大する状況ではなかった。しかし、大型客船のダイヤモンド・プリンセス号の乗客の中から感染者が出たというニュースが報じられると、横浜港に停泊した巨大な船の映像とともに連日マスコミでも大きく取り上げられ、多くの人々の注目を集めた。
この件についても過去のものとせず、これに対応した人々がどのような苦労に直面し、乗り越えてきたかを記録に残しておくことが重要だろう。災害派遣医療チーム「DMAT(ディーマット)」を中心とした活躍が『フロントライン』というタイトルで映画化され、2025年6月に公開予定だそうだ。映像を通して当時の医療チームなどの苦労が理解できるものと思われる。そこで本稿では医療チーム以外の人々に着目して、どのようなことがあったのか、その一部の記録を書き残しておきたい。
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