
日本企業は大きな選択をすべき時ではない。情報収集は必須だが、それを読み解き行動の糧とする意志が問われる[群馬県内の自動車関連企業の経営者らと意見交換する古賀友一郎経済産業副大臣(中央)=4月7日、群馬県太田市](C)時事
トランプ大統領の”関税爆弾”が4月3日(日本時間)に炸裂するとともにグローバル・ビジネスの環境は一段と流動化し、まったく先が見通せなくなってきた。多くの企業がこれまで築いてきた事業基盤も大きく揺らいでいる。どこで、何を、どのように生産し、どこを市場とすべきか、今まで明確だったことがすべて見直しの対象となる。
振り返れば、多くの企業が1990年代初頭の米ソ冷戦終結後、グローバリゼーションが進む中で、「選択と集中」によって利益率を高めようとしてきた。米国主導の見通しのよいグローバル環境では「選択と集中」には合理性があり、GE(ゼネラル・エレクトリック)など米国の優良企業が「選択と集中」を率先し、業績も伸ばした。
今、我々はまったく異なる世界に立っている。視界不良どころか、足下も揺らぐ中で「選択と集中」は危険な賭けでしかない。今、必要なのは状況を把握する「探索」と経営資源の適切な「分散」である。「選択と集中」から「探索と分散」への転換こそ急務である。
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