
方向転換に貢献したのはベッセント財務長官[2025年4月9日、アメリカ・ワシントンDC](C)EPA=時事
相互関税、90日間の一時停止決定でベッセント財務長官が暗躍か
「画家が絵を描くように、詩人が言葉を紡ぐように、ディールこそが私の芸術だ」とは、2014年12月にドナルド・トランプ氏が旧ツイッターに投稿した言葉だ。まさか、これが壮大な伏線になるとは当時誰も想定していなかったはずだ。
トランプ大統領は4月9日、相互関税をめぐり90日間の停止を発表した。日本の24%を始め、個別に割り当てられた相互関税の税率は、一律で10%へ引き下げられた。カナダとメキシコには、麻薬性鎮痛剤と不法移民に対する取り締まり強化を狙い、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の準拠品以外の輸入品に25%発動していたが、これは引き続き有効だとした。
また、報復関税として4月4日に相互関税の税率と同水準の34%、9日に50%の上乗せを発表した中国は、一時停止の対象外とした。加えて、中国には相互関税の関税率を当初の34%から2回の引き上げを経て、125%にすると発表。2月4日に発動した麻薬性鎮痛剤フェンタニルの流入の対策不十分を理由とした追加関税率は、3月4日に20%へ引き上げられているため、中国向けの追加関税率は全体で145%となる。
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