核問題協議をめぐる米とイランの“メリデメ”いかに?

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執筆者:フォーサイト編集部2025年4月13日
多少の妥協を強いられるとしても、イランにとっては今がディールをまとめる好機との見方も[米-イラン高官協議を報じるイランメディア](C)AFP=時事

 12日にオマーンで開催された米-イランの高官協議は19日の再協議で合意。スティーブ・ウィトコフ米中東担当特使とイランのアッバス・アラグチ外相との間で「非常に前向きで建設的」な協議が行われたと、ホワイトハウスは発表しています。

 メインテーマは核開発ですが、もちろん米国にとってはイランの「抵抗の枢軸」支援(イスラエルーイラン問題)と表裏一体、イランにとっては経済制裁の解除(つまり国内の安定)と繋がっています。

 英「エコノミスト」誌は次のように指摘します。

「交渉が決裂した場合、トランプ氏は厳しい選択を迫られることになる――イランの核保有というリスクを冒すか、イスラエルにイランを爆撃させるか、あるいはアメリカ自身が攻撃を指揮してより徹底的な成果を確保するか」

 エコノミスト誌の挙げた“選択肢”は、どれも米国にとって最悪に近いものですが、一方で2015年核合意を受け入れた経緯があるイランは、仮に核開発で米国の要求を受け入れても“2015年時点”への回帰です。つまり、相対的には2018年に自ら核合意を離脱した米国の方が、高いハードルを越える必要があるはずです。しかも、イランの核施設への攻撃を主張しているイスラエルを抑えながらの交渉です。トランプ政権の出方が注目されます。

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