核問題協議をめぐる米とイランの“メリデメ”いかに?
Foresight World Watcher's 8 Tips

12日にオマーンで開催された米-イランの高官協議は19日の再協議で合意。スティーブ・ウィトコフ米中東担当特使とイランのアッバス・アラグチ外相との間で「非常に前向きで建設的」な協議が行なわれたと、ホワイトハウスは発表しています。
メインテーマは核開発ですが、もちろん米国にとってはイランの「抵抗の枢軸」支援(イスラエルーイラン問題)と表裏一体、イランにとっては経済制裁の解除(つまり国内の安定)と繋がっています。
英エコノミスト誌は次のように指摘します。
「交渉が決裂した場合、トランプ氏は厳しい選択を迫られることになる――イランの核保有というリスクを冒すか、イスラエルにイランを爆撃させるか、あるいはアメリカ自身が攻撃を指揮してより徹底的な成果を確保するか」
エコノミスト誌の挙げた“選択肢”は、どれも米国にとって最悪に近いものですが、一方で2015年核合意を受け入れた経緯があるイランは、仮に核開発で米国の要求を受け入れても“2015年時点”への回帰です。つまり、相対的には2018年に自ら核合意を離脱した米国の方が、高いハードルを越える必要があるはずです。しかも、イランの核施設への攻撃を主張しているイスラエルを抑えながらの交渉です。トランプ政権の出方が注目されます。
大統領選の実施が決まった韓国政治やトランプ関税問題の深掘り論考も含め、フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事8本。よろしければご一緒に。
[SITUATION REPORT]The U.S. and Iran Prepare for Nuclear Talks【John Haltiwanger, Rishi Iyengar/Foreign Policy/4月10日付】
「トランプ大統領は月曜[4月7日]、[イランとの間で]直接的な核交渉が進行中であり、土曜日[4月12日]にオマーンで『非常に重要な会合』が開催されると発表した。/イランは、この協議は間接的なものであってオマーンの外相が仲介すると主張、これはトランプ大統領の主張と食い違っている。ここに、重要な会合を控えた両国の間に数多くの意見の相違があることが示されている」
今回の協議の開催が発表された直後、米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌の旗艦ニューズレター「シチュエーション・リポート」は「核協議に備える米国とイラン」(4月10日付)と題した最新号で次のように報じている(筆者は同紙記者のジョン・ホルティウィンジャーとリシ・アイエンガー)。
「『トランプはこれをやり遂げ、その後は手を引きたいと考えている』と、ユーラシア・グループの上級アナリストでイラン問題の専門家であるグレゴリー・ブリューはシチュエーション・リポート筆者に語った。/『イランを核開発計画の箱の中に閉じ込め、地域不安定化の要因となっているこの問題に対処し、今それを成し遂げることで、彼らは任期後半に他の政策目標を達成するために時間を割くことができるようになる」とブリューは述べた。これは、トランプ政権が『今すぐにでもこれを成し遂げたいと急いでいる』ように見える理由を説明するのに役立つ」

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。