
「日本が最優先」は「交渉に応じる国を優遇する」とのメッセージだろう[トランプ大統領(右端)とホワイトハウスで会談する赤沢経財相(左から3人目)=2025年4月16日](C)内閣官房提供/時事
「これは最後のチャンスだ! 青い薬を飲むか、赤い薬を飲むか?」――映画『マトリックス』の有名なセリフで、ご記憶の方も多いだろう。赤い薬を選べば、現実世界に引き戻され厳しい現実に直面し、青い薬を選べば、これまで通りの生活(映画では仮想世界)で安穏に暮らせる。トランプ政権は、今まさに「関税」という劇薬で、世界を試そうとしている。
4月2日に米国が貿易黒字を計上する国や貿易額が低い国などに一律10%、その条件に当てはまらない貿易赤字や非関税障壁を抱える国には個別で関税率を課すことが発表された。日本には24%、中国には34%とされ、報復措置を講じた中国については、4月9日に125%に引き上げた。フェンタニル流入問題を理由にして、相互関税と同じくIEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠に課していた20%と合わせ、145%に設定されたことになる。
一方で、日本を始め中国以外で個別の相互関税を課した国には、報復措置を見送り米国と交渉する姿勢を見せたとして、90日間の一時停止を決定。早速、4月9-10日にベトナムのホー・ドゥク・フォック副首相が米国を訪問し通商交渉を開始。日本も赤沢亮正経済財政・再生相が16日に米国を訪れ、二国間交渉の幕が上がった。
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