韓国大統領選、保守派与党を悩ます「極右」からの抗い難い誘惑
2025年4月24日

非常戒厳を正当とする過激な人々は一部に過ぎない。しかし与党党員にはかなりの数が含まれる[尹前大統領支持者の集会=2025年4月19日、韓国・ソウル](C)EPA=時事
「非常戒厳」を出したことで国会に弾劾訴追され、憲法裁判所の審理で罷免が決まった韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の後任を選ぶ選挙が6月3日に実施される。尹政権と激しく対立してきた進歩派の第一野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)前代表が最有力候補で、李氏に保守派与党「国民の力」の候補が挑む構図だ。尹氏の罷免で打撃を受けた保守派に勝ち目はあるのだろうか。
ダブルスコアから急回復を見せた与党支持率
日本で強い関心を持たれるのは、対日政策がどうなるかだ。進歩派の文在寅(ムン・ジェイン)政権下で「最悪」とまで評された日韓関係が、尹政権の下で急速に改善されたからだ。尹氏の強引な政治スタイルは日韓関係で成果を挙げたのだが、一方で内政では野党との対立激化というマイナス面が目立った。それによって、既に深刻だった韓国社会の分断状況はさらに悪化した。そうした尹氏の手法が国民に嫌われた結果、昨年4月の総選挙で国民の力は惨敗し、追い込まれた尹氏は時代錯誤の「非常戒厳」という禁じ手に走って自滅した。
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