トランプ「欧州撤退」と表裏一体、米国が「NATO東方拡大」で警戒するもの
2025年4月27日

[オデーサでNATOのマーク・ルッテ事務総長(左)と握手するウクライナのゼレンスキー大統領=2025年4月15日、ウクライナ大統領報道部配布資料](C)AFP=時事
ドナルド・トランプ米大統領から発されるニュースが相次いでいる。もう少しで就任100日となるところで、日々の話題の背景にあるトランプ第二次政権の大きな傾向は、だいぶ見えてきたように思われる。私自身は、その傾向を体系的に言い表すために、「モンロー・ドクトリン」や「アメリカン・システム」といった概念を参照している。トランプ大統領が「かつてアメリカが偉大だった時代」と認識している19世紀アメリカの外交政策・経済政策に付されていた名称だ。
https://shinodahideaki.theletter.jp/
トランプ政権の傾向を総称としてどう把握するかだけでなく、個々の政策領域への波及をどう捉えていくかも、引き続き大きな検討課題になる。幾つもの論点があるが、たとえばアメリカの欧州不関与の傾向は、一つの重大論点だ。
トランプ政権は、欧州諸国が心情的に深く関与している問題にも、冷淡な態度をとり、大きなショックを作り出した。まずはロシア・ウクライナ戦争の調停に乗り出し、ウラジーミル・プーチン露大統領とも対話を始めたことが、欧州人にとって衝撃であった。次に、J・D・バンス米副大統領が、欧州には親露的傾向がある人物を選挙などから排斥する傾向があると苦言を呈したことが、不興を買う出来事となった。もちろん欧州駐留の米軍の削減を進め、容赦なく高関税を導入する政策的な姿勢も、大きな論点だ。欧州では指導者層だけでなく一般の人々の間でも、嫌米の感情が広がっているという。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。