「オイルシティ」をめぐるチャベスと外資の駆け引き

執筆者:クリス・クラウル2009年9月号

世界屈指の石油埋蔵量を誇る“オリノコベルト”を、ちゃっかり外国資本に開発させようと目論むベネズエラだが……。[ソレダード発]もしもウゴ・チャベス大統領の目論見通りに事が運べば、ベネズエラの首都カラカスから南東に約四百キロ、オリノコ川沿いの小さな漁村ソレダードは、今後数年のうちに一大石油都市になるかもしれない。 ソレダードの八千人の住民は、国のプロジェクトに期待を寄せている。というのも、多くが漁師や露天商、地元パルプ工場の従業員として、わずかの稼ぎを頼りに生活するか、あるいは失業中という状態だからだ。二十三歳のミゲル・フェルナンデスはその典型で、半年前に警備会社を首になって以来、職がない。「みんな興奮している。先週だって、油田の掘削が始まったという噂が流れて、町の人々の半分くらいが仕事を求めて殺到したんだ」と、フェルナンデスは言う。だが、実際に行なわれたのは小規模の実地調査で、仕事などどこにもなかった。「あの時は、みんながっかりしたね」。 だが、ベネズエラ政府が計画するプロジェクトが実現すれば、職場はいくらでもできる。掘削プラットフォーム、精製所やパイプラインの建設、輸送インフラの整備など、総額三百五十億ドル(約三兆三千二百億円)の油田開発が順調にいけば、日量五十万バレル(約八千万リットル)の石油を産出することになる。ベネズエラの現在の石油産出量が日量二百二十万バレルであることを考えると、二割以上の増産だ。

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