軍用潜水艦メーカーの2社体制は維持されるべきか[潜水艦「らいげい」の引渡式・自衛艦旗授与式=2025年3月6日、川崎重工業神戸工場](海上自衛隊公式サイトより)

「経営陣が先頭に立ち、不正ができない仕組みの構築、不正発見の強化、組織風土・意識改革に全力で取り組む」

 海上自衛隊潜水艦の修理・検査を巡る裏金問題で川崎重工業社長の橋本康彦(67)は、中間報告を公表した2024年12月27日の記者会見で、再発防止の決意をこう表明した。

「潜水艦裏金事件」と呼ばれたこの不祥事は同年2月26日、大阪国税局が税務調査で、同社船舶海洋ディビジョン神戸造船工場修繕部が請け負った潜水艦修理工事を巡り、下請け企業が絡んだ架空発注が存在することを川重側に伝えたことで発覚。川重が6月14日に設置した特別調査委員会の「中間報告書」によると、不正行為が始まったのは「遅くとも約40年前」の1985年だという。調査が可能な2018〜23年度の6年間だけでも、架空発注の規模は総額17億円に達した。

 蓄積した裏金は、乗組員の求めに応じ提供したゴルフ用品や家電、ゲーム機などの購入費用に充てたほか、高級クラブやガールズバーなどでの飲食接待などにも使われた。「乗組員と良好な関係性を構築することで、業務を円滑に進める」ことが不正行為を続けてきた理由とされ、云わば「必要悪」として代々の担当者に組織的に受け継がれてきた。

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