ロシア軍は9カ月ぶりにクルスク州の全域を奪還し、ドネツク戦線ではオートバイを駆使した新戦法なども導入しているとされる(筆者の分析に基づき編集部作成)

 ドナルド・トランプ大統領が停戦合意の目標としていたはずの、就任100日(4月29日)は既に過ぎ去った。ロシアの対独戦勝記念日の5月9日がもう一つの節目になるとも見られていたが、停戦交渉に何の進展も見られない。15日にトルコで行われるという協議の行方もまだ不透明だ。

 トランプ大統領は、大統領選期間中は「就任すれば24時間で戦争を終わらせる」と発言していたが、大統領就任前の1月7日には、「6カ月は欲しい。できればそれよりずっと前に終わらせたい」に変わった。その翌日には、トランプ氏の意向を受けたウクライナ・ロシア問題の特別代表キース・ケロッグ氏が「100日という期限」を設定していた。

 4月22日、タイム誌のインタビューにおいて、記者が「就任初日に(戦争を)終わらせると言っていたが?」と質問したのに対し、トランプ大統領は、「比喩のつもりで、誇張で言った。立場をはっきりさせるためだ。ご存じのとおり、冗談で(in jest)言ったが、戦争が終わるということも言った」と答えている。この発言からも、そもそもトランプ大統領が示す期限というものに信用性が見いだせないことは明らかだろう。何も見通せない現状において、いったいこの戦争に出口はあるのか。第一線の戦況の視点と合わせ、その行方を探ってみたい。

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