国際エネルギー市場に「トランプ関税」「OPECプラス増産」が広げる波紋
2025年5月14日

トランプ関税の影響とOPECプラスの増産という「ダブルパンチ」を受け、当面は原油価格には下押し圧力が働きやすい状況が続くだろう[サウジアラビアを訪問したトランプ大統領(右)と握手する同国のムハンマド・ビン・サルマン皇太子=2025年5月13日、サウジアラビア・リヤド]EPA=時事
トランプ2.0が始動して100日が経過した。その内外政策は想像以上のインパクトを持って世界を揺さぶり続けている。その下で、国際エネルギー情勢も激動に晒されている。筆者は4月末にワシントンDCを訪問し、米国政府関係者、エネルギー産業関係者、有識者等と、トランプ2.0の政策動向とエネルギー情勢に関連して幅広く意見交換する機会を持った。その時の所感も交え、トランプ2.0とエネルギー情勢について、現時点での諸問題を考察してみたい。
何といっても、今日の世界で最も高い関心を集めているのはトランプ関税に関わる問題であろう。4月初めに高額の相互関税導入を発表して以来、今後の帰趨と各国による対米交渉の行方を巡って、世界経済は大揺れになっている。4月に発表された国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」最新版では、2025年の世界経済成長率が2.8%とされ、今年1月に発表された同見通しより、0.5ポイントも下方修正された。いうまでもなくトランプ関税によって世界経済が強く下押しされる可能性がある、との見立てでこの下方修正が行われることになった。相互関税導入の発表後、世界同時株安が発生し、国際貿易の縮小とインフレ悪化、さらにはスタグフレーションの可能性さえ懸念されるようになっている。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。