
ひとまずは両者が「勝利」をアピールできる“ウィン‐ウィン”の合意[ベッセント米財務長官(左)と中国の何立峰副首相=2025年5月10日、スイス・ジュネーブ](C)EPA=時事
ベッセント氏の発言、グリア氏の会談にも注目
「名を争う者は朝に於いてし、利を争う者は市に於いてす」――『史記』張儀伝にある言葉は、「名声を求めるならば政治の場で、利益を求めるならば経済の場で争うべき」との考えを示すものだ。ドナルド・トランプ大統領とスコット・ベッセント財務長官は、ニューヨークのウォール街と不動産業界という、一攫千金を狙い海千山千の猛者がしのぎを削る場所で、文字通り利益を追求し成功してきた。そして今、この2人は政治の分野でも、世界を揺り動かしつつある。
ベッセント氏とジェミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表は5月10ー11日、何立峰副首相率いる中国代表団と初めて通商協議を行った。12日には、スイスで会見を開き米中が115%もの大幅な関税引き下げで合意したことを発表。併せてホワイトハウスと中国政府が、共同声明を公表。米中間の緊張緩和につなげた。
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