流通の長年の課題である「商品情報バラバラ問題」の解決に動き出した経済産業省 (C)時事

「バーコードが読み取れませんね」――スーパーマーケットのレジで店員からそう言われ、手入力で対応された経験を持つ人はいないだろうか。ネット通販でも「検索しても商品が出てこない」「情報が足りなくて購入をためらう」といった場面は日常的に起きている。これら一見些細な出来事の裏には、日本の流通業界が長年抱えてきた構造的な課題がある。それが「商品情報のバラバラ問題」だ。

メーカー、卸、小売ごとにバラバラの商品情報

 食品や日用品など、流通の最前線を支える商品情報。その登録・管理方法が、いまだにメーカー、卸、小売ごとにバラバラである。JANコード(バーコードに含まれる商品識別番号)や商品名、原材料、容量、サイズ、賞味期限、アレルゲン情報など、多岐にわたる情報を各社が独自のフォーマットで扱っており、情報の受け渡しのたびに変換・修正が発生している。

 たとえばメーカーが新商品を出すとき、JANコードを取得し、商品情報を卸や小売に提供する。しかしそのデータは、多くの小売システムにそのままでは登録できない。卸は内容を再編集・再フォーマット化し、小売ごとに個別対応する。こうした煩雑なプロセスが、発注ミスや登録漏れ、物流の混乱を生んでいる。

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