「西側後」の日本外交のための覚書(上)――「根のある花」を育てるために
2025年5月27日

アメリカの日本に対する影響力を過大評価する誤解は根強い[ホワイトハウスで会談し、握手するドナルド・トランプ米大統領(右)と石破茂首相=2025年2月7日、アメリカ・ワシントンDC](C)時事
「根のある花」を育てるために
日本外交の「自立」、あるいは「自律」の拡大を求める声が広がっている。2025年1月のドナルド・トランプ第二次政権の誕生とともに、冷戦期に生まれたアメリカ主導の国際秩序は終焉のときを迎えた。筆者はジョセフ・バイデン政権期にすでにアメリカは自らが形成した国際秩序を維持する意図も能力も失いつつあると判断し、機会をとらえてそのように述べてきたので、そのこと自体に驚きはない。しかしながら、第二次トランプ政権が誕生したのち、わずか3カ月に満たない期間でこれが一挙に現実のものとなり、またそのような理解が共有されるに至ったという事態の急転には瞠目せざるを得ない。戦後日本外交はアメリカ主導の国際秩序の存在を前提としてきただけに、その終幕を受けて、日本が自ら主体的に行動しなければならないとの議論が広がったことは当然だろう。筆者自身も、日本が自ら新たな国際秩序の形成を主導する覚悟が必要だと繰り返し述べてきたので、これに異論はない1。
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