韓国新政権では北朝鮮研究の重鎮が国情院長官に就任しており、現時点で南北首脳会談を呼びかけることは非現実的だと認識しているはずだ[国を守るため犠牲になった人々を追悼する「顕忠日」に国立墓地で焼香する李大統領=2025年6月6日、韓国・ソウル](C)AFP=時事

 韓国の新大統領となった李在明(イ・ジェミョン)氏のこれまでの発言や選挙公約を総合的に見ると、歴代大統領に比べて北朝鮮問題への関心が低いのは間違いなかろう。とりわけ、両親が北朝鮮地域の出身だった文在寅(ムン・ジェイン)氏のような「進歩」派大統領とは異なり、北朝鮮への思い入れは少ないようだ。

 南北朝鮮がそれぞれ建国して77年の時間が経過し、離散家族問題も過去のものになりつつある。韓国における各種の世論調査は、北朝鮮との「統一」に対する関心の低下を明確に示しており、「実用主義」を連呼し、ポピュリストとの評価が定まる李在明大統領はそれに対応しているものと考えられる。また、国政で外交に携わった経験がないことも影響しているだろう。

兵器実験を控える理由は消えたが

 就任演説では、北朝鮮について少しだけ触れられた。

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