危機時の資産運用のトリセツ――「トランプショック」とどう付き合えばよいか
2025年6月9日

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タイミングを計ればハマる「投資失敗の沼」
2025年に入り1月こそ株価上昇でスタートしたものの、2月から米トランプ政権の追加関税が発動されると株価は下落に転じた。そして4月前半には相互関税発表や、対中国追加関税と中国の報復関税のラリーで株価は大きく下落した。
関税問題に終わりは見えていないが、このトランプショックで投資家がまず懸念していることは、インフレと景気後退だろう。
関税引き上げによって輸入業者の仕入れコストが上昇し、それが価格に転嫁されていくと最終的に消費者が支払う価格が上昇する。インフレの長期化が予想されるとFRB(米連邦準備制度理事会)は簡単には政策金利を下げられず、インフレの継続が予想されると消費者のマインドも下がりやすい。
図1はミシガン大学が発表している消費者信頼感指数だ。ミシガン大学のサーベイ・リサーチ・センターによる調査結果が毎月発表され、アメリカの一般消費者の経済に対する信頼度や将来への期待感を反映している。FRBも政策判断の参考にする重要指標だ。2025年5月の発表では消費者マインドは大きく下がり、1年後のインフレ期待は6.6%へ急上昇している。このインフレ期待の数値は1981年以来の高水準だ。景気悪化と物価上昇という最悪の組み合わせが懸念されている。
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