
ドナルド・トランプ米大統領の中東訪問に合わせ、ボーイングはカタール航空から過去最大規模の受注を獲得した。しかしその経営状況は“存亡の危機”が続いている[トランプ大統領とともに経営者朝食会に参加したボーイングのオルトバーグCEO=2025年5月15日、カタール・ドーハ](C)AFP=時事
「オオカミにとっての自由は、往々にしてヒツジにとっての死を意味する」
ノーベル経済学賞受賞者(2001年)でビル・クリントン政権の大統領経済諮問委員会(CEA)委員長(1995〜97年)などを務めた経済学者のジョセフ・スティグリッツ(82)は、近著『資本主義と自由』(東洋経済新報社、原著The Road to Freedomは2024年出版)でマーガレット・サッチャー(1925〜2013年)やロナルド・レーガン(1911〜2004年)以来の新自由主義が失敗だったと論じている。
スティグリッツが標的にした新自由主義とは、政府の経済への介入を極力抑え、民営化や規制緩和などによる「自由化」が成長率を高め、富裕層から中間層や貧困層へ富がこぼれ落ち、利益が再分配されて経済全体が良くなるというトリクルダウン(“滴り落ちる”の意)理論に裏打ちされていた。
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