世界の石油供給の約2割はホルムズ海峡経由で、この数量を他の石油供給源で代替することは不可能だ[オマーン北部沖のホルムズ海峡を通過するタンカー=2025年6月25日](C)AFP=時事

 エネルギー価格高騰がもたらす経済・社会・政治への影響が世界の関心を集める今日、イランを巡る中東情勢が劇的な展開を示し、原油価格が乱高下した。中東の地政学リスクが石油供給不安を発生させ、この問題が世界の重大関心事項であることを改めて再認識させられることとなった。

 第2次トランプ政権発足後、アメリカはイランに「最大限の圧力」をかけつつ、同国との核協議を進めた。6月15日に次の協議が行われる予定だったが、直前の6月13日にイスラエルがイランの核施設への軍事攻撃を開始した。イランは直ちに報復を開始、ミサイル攻撃応酬などで両国は本格的な交戦状態に入った。

 アメリカは、イスラエルの攻撃開始以来、徐々にイスラエル寄りの姿勢を示し、6月19日にはドナルド・トランプ大統領がイランへの軍事介入について「2週間以内に判断を下す」と述べるに至った。そして6月22日(米国時間21日)、トランプ大統領は、米軍がフォルドゥのウラン濃縮施設などを攻撃したと発表し、世界に衝撃が走った。バンカーバスターなど特殊兵器を使って地下深くに存在する施設を攻撃し、イランの核開発能力の破壊を狙ったものであった。イランも報復を発表し、アメリカとイランの直接の軍事的対峙という未曽有の展開に世界は直面することとなった。

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