デンマークとグリーンランドの関係はカップルセラピーが必要と指摘されるほどギクシャクしていた[コペンハーゲンの国会議事堂を訪問したグリーンランド自治政府のニールセン首相(左)とデンマークのフレデリクセン首相=2025年4月28日](C)EPA=時事

トランプ発言から6カ月

「グリーンランドの自治を尊重する」

「グリーンランド・フェロー諸島を含むデンマーク国家(Rigsfællesskabet)に対する友情や連帯を示す」

 これらのフレーズは、2024年12月以降のドナルド・トランプ米大統領によるグリーンランド併合発言を受けて、内外の政治家や識者、活動家など多くの論者によって繰り返し言及されてきたものである(たとえば、Reuters 2025)。しかし、グリーンランドの自治や決定を尊重すべきだとする立場や、デンマーク国家への連帯や結束を支持する動きが多数確認される一方で、グリーンランド—デンマーク間の域内力学を、トランプ発言の文脈に紐づけて理解しようとする試みは、ほとんどなされてこなかった。グリーンランドやデンマークは、大国が触手を伸ばすときだけ、都合よく可視化されてきた。

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