「石破おろし」と「石破やめるな」――日本政治の不可解な新時代

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執筆者:フォーサイト編集部2025年7月27日
日本は何年もの間、他の多くの豊かな民主主義国の政治をひっくり返したポピュリズムや二極化から逃れてきたように見えた。しかし、もはやそうではないことは明らかだ――英エコノミスト誌[2025年7月25日、東京・永田町の首相官邸前](C)AFP=時事

 自民党内では「石破おろし」、首相官邸前では「石破やめるな」。参院選後の首相が続投理由に挙げた日米関税交渉が合意に至り、進退問題がいよいよ騒がしくなってきました。

 総裁解任を提案できる両院議員総会が開催されるには「党所属国会議員の3分の1以上」による要請が必要ですが、すでにこの条件はクリアされたと伝えられます。旧安倍派、旧茂木派そして麻生派と、旧派閥が主導して進んだ署名集めは石破政権“非主流”の逆襲そのもの。そうした動きは外から見れば旧態回帰にほかならず、「石破やめるな」の後押し要因にもなっているはずです。

 ただ、注意したいのは、石破政権が続く限りおそらく自民党の分裂は深まり続け、政治の混乱それ自体を狙う向きには好都合であることです。自民党に“お灸を据え”て留飲を下げる気持ちよさを、いまはできるだけ引き伸ばしたい。「石破やめるな」の根底に、そんな無意識が潜んでいるのであればこれも危うい問題です。そして、自民党に本格的な挑戦を挑むにはまだ力が足りない野党にとって、これほど心地よい状況もないでしょう。

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