国連を襲う大規模予算カットと機構改革の衝撃:トランプショックだけではないその背景(下)
2025年7月31日
OCHA局長職は過去18年にわたりイギリス人外交官が独占している[人道援助のリセットを掲げるOCHAのフレッチャー局長)2024年12月3日=スイス・ジュネーブ](C)EPA=時事
人道援助機関の動き:「リセット」による援助の現地化
実はアメリカは、本部事務局とは区別される国連諸機関に対しても、巨額の任意の拠出金を通じて、大規模な財政支援をしていた。それぞれの機関の活動の内容に共鳴した加盟国が、任意で資金を提供して活動させているのが、基金や計画と呼ばれる専門性の高い援助活動をする諸機関の仕組みである。アメリカは、この仕組みを通じて、様々な国連諸機関に圧倒的な影響力を持っている。
たとえば既述のUNHCRやIOM(国際移住機関)では、年間予算の約4割前後が、アメリカの拠出金によるものだった。人道援助業界のもう一つの巨大機関であるWFP(世界食糧計画)においても、2024年の年間予算約89億ドルの4割以上をアメリカからの拠出金でまかなっていた。予算に占める一般募金収入の比率が大きいUNICEF(国連児童基金)でも、アメリカ政府からの拠出金や全体の約15%を占めていた。トランプ政権の誕生によって、これらの大きな比率を占める資金が、一気に消滅してしまうことになる。激震である。
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