英独「最良の敵同士」の新たな関係

Foresight World Watcher's 4 Tips

執筆者:フォーサイト編集部2025年8月3日
まずは安全保障での連携が前面に出たが、友好条約の対象分野は幅広い[エアバス・ディフェンス・アンド・スペース社の工場で記者会見を開いたスターマー英首相(左)とメルツ独首相(右)=2025年7月17日、イギリス・ロンドン近郊のハートフォードシャー州](C)EPA=時事

 国際社会に大騒動を巻き起こしてきたトランプ関税問題がひとつの区切りを迎える傍らで、欧州や中東、そしてインドと中国の関係には注目すべき動きが起きています。

 英独間で戦後初の2国間条約となる「ケンジントン条約」が署名され、仏英(そしてカナダ)はパレスチナを国家承認する方針を発表しました。インド太平洋の重要な要であるはずのモディ印政権に対し、米国は関税交渉で厳しい条件を突き付けて譲らず、その軋みを睨むかのように中国はインドへの挑発的行為を重ねています。

 いずれも「アメリカ・ファースト」と軌を一にして高まる各地域の秩序再構築の動きと言えそうですが、その波紋はどこまで広がって行くものなのか。フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事4本、皆様もよろしければご一緒に。

Britain and Germany sign a historic treaty【Economist/7月17日付】

 英国のEU(欧州連合)離脱、第1次トランプ政権による米国外交の見直し、バイデン政権による揺り戻し、中国の戦狼外交の顕在化、ロシアのウクライナ侵攻、そしてトランプ政権の復活……。こうした流れを経て今、大きく変動している欧州において、英国とドイツの両首脳が署名した友好条約の締結もまた、ひとつの大きな節目となった。

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