「中欧班列」によって、海に面していないため輸出に不利だった中国西部は、欧州に近い好立地へと転じた[中国江蘇省連雲港市の物流基地で「中欧班列」向けに積み込まれるコンテナ=2025年5月22日](C)CFOTO/Sipa USA via Reuters Connect
2025年5月、中国とイラン・アプリン陸港(テヘラン郊外)を結ぶ「中伊鉄路(中国・イラン鉄道)」の正式運用が始まった。陝西省西安市からカザフスタン、トルクメニスタンを経由する東線、新疆ウイグル自治区カシュガルからキルギス、タジキスタン、アフガニスタンを経由する西線がある。ユーラシア横断鉄道(中欧班列)の一路線として、中国とイランを直接つなぐ鉄道は、一部では米国の制裁を突破する強力な武器になるとの見方もあるが、一方でビジネスの論理からは、ロシア対策という別の姿が見えてくる。
中欧班列の主要ルートはロシアを通過するが、ロシア・ウクライナ戦争によって状況が変わった。顧客となる欧州企業はロシア経由の輸送に難色を示している。ロシア政府は2024年10月より機械類、電子類などの「デュアルユース」(軍民両用品)の差し押さえを行っており、規制対象外の貨物も巻き込まれて滞留するケースも多い。こうした問題から中欧班列の輸送量は減少している。今年1月から4月の貨物量は前年同期比で22%減少している。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。