中国は世界の新造船建造量(2023年)の約半数を占めトップに君臨するのに対し、米国のシェアは約0.1%に過ぎない[中国の造船所で建造中の船舶=2025年7月21日、中国・江蘇省](C)AFP=時事

関税交渉のカードに挙げられた造船分野

 日米関税交渉は、参議院選挙後に急展開した。8月1日の交渉期限が迫る7月21日、担当の赤沢亮正大臣は8回目の交渉のため訪米、22日に急遽設定されたドナルド・トランプ大統領との交渉の末、25%への引き上げが予定されていた相互関税を15%までの引き上げにとどめ、自動車(含む部品)に対する25%もの追加関税を半分の12.5%に引き下げることで合意した。

 報道によると、日本側の主な交渉カードは、5500億ドル(約80兆円)にも上る日本企業の対米投資に対する融資・保証枠のほか、ボーイング社の航空機100機購入、コメの輸入拡大、農産物など80億ドル(約1.2兆円)購入、すでに決まっている防衛装備品購入の30億ドル(約0.4兆円)拡大などであり、旅客機1機が数百億円、100機で数兆円に上ることも踏まえると、2024年で9兆円近い米国の対日貿易赤字をある程度は削減できそうである。貿易赤字にこだわるトランプ大統領を納得させるに足るメニューだったと言えよう。

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