「トランプ時間」は、厳しい現実と衝突する[アンカレジのエルメンドルフ・リチャードソン米軍基地にプーチン大統領(左)を迎えたトランプ大統領=2025年8月15日、アメリカ・アラスカ](C)AFP=時事

 ウクライナの停戦・和平をめぐる外交の動きが激しい。2025年8月15日の米国アラスカ州での米露首脳会談、そして、同18日にホワイトハウスでおこなわれたドナルド・トランプ米大統領とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の会談、さらには欧州首脳を交えた会合はその象徴だった。

 目まぐるしく展開される停戦・和平外交にはさまざまな論点が存在するが、そうであるがゆえに、構図や方向といった全体像を把握することが重要になる。2025年1月のトランプ政権発足以降の大きな流れに照らすと、「ボールがどちらのコートにあるのか」が一つの重要な注目点になる。表層的に聞こえるかもしれないし、具体的な事項に関する実質的な進展があるようにはみえないが、それは、各局面でどちらが主導権を握るかということであり、関係国間の力関係、さらには外交交渉の行方に影響する。以下では、この観点から停戦・和平をめぐる外交の攻防を読み解いていこう。

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