TICADで来日中の各国首脳夫妻らを招いた茶会で、出席者を迎えられる天皇皇后両陛下と皇族方=2025年8月22日、皇居・宮殿「春秋の間」[代表撮影](C)時事

 第9回アフリカ開発会議(TICAD-9)が、8月20~22日に横浜で開催された。日本でアフリカに関する事柄がニュースになることは稀だ。しかし、日本が主催者となって日本で数年に一度だけ開催する会議であることから、TICADには、それなりの関心が集まったようにも感じる。

 それにしても毎回のことだが、あらためてこの会議の目的が問い直された。具体的な成果が見えないという突き放した見方と、貴重な価値があるという指摘とがある。効果に関する疑念もあるが、やめるわけにはいかない、というのが総意ではある。

 ただ今回は特に、「JICAアフリカ・ホームタウン」交流事業が、ナイジェリア政府側で「移民」政策と受け止められていた節があったことが、大きな騒ぎを引き起こした。事実関係の整理から、イデオロギー対立の要素に至るまで、複雑な事情がありそうだ。いずれにせよ背景には、そもそもTICADが何のために実施されているのかに関する認識の不明瞭性があると言える。

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