最先端のテクノロジーに検査官がついて行けないという問題も[記者会見で米国製ドローンの生産促進を訴えるブライアン・ベッドフォードFAA長官=2025年8月5日、アメリカ・ワシントンDC](C)EPA=時事

 インド西部アーメダバードで2025年6月12日に起きた「エア・インディア171便」(米ボーイング787-8型機ドリームライナー)の墜落事故を巡り、現地インドと機体原産国アメリカの“攻防”が世界の航空産業界の注目を集めている。中でも、1カ月後の7月12日に公表されたインド航空事故調査局(AAIB=Aircraft Accident Investigation Bureau)の中間報告書で、「787」のコックピットに設置されている燃料制御スイッチが離陸直後に操作された可能性が示唆されたことが大きな論争を巻き起こしている。

 航空機には左右のエンジンへの燃料供給を制御するスイッチがあり、通常この装置は地上で操作される。エンジンを稼働させる際に「RUN(運転)」、停止させる際に「CUTOFF(遮断)」に合わせるのだが、中間報告書によると、事故機のフライトレコーダーには離陸直後にスイッチが「CUTOFF」に切り替わっていたことが記録され、さらに事故後に回収されたコックピット・ボイス・レコーダーには、一方の操縦士が「なぜスイッチを切ったのか」と尋ねたのに対し、もう一方の操縦士が「そんなことはしていない」と答える音声が残っていた。
 

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