日本の「リーダーシップの真空」がアジアと世界に及ぼすダメージ

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執筆者:フォーサイト編集部2025年9月7日
「解党的」はともかく、どう出直す?[記者会見で退陣する意向を表明し、質問に答える石破茂首相=9月7日午後、首相官邸](C)時事

 本日7日、石破茂首相が辞任を表明しました。これから自民党総裁選を経て、臨時国会が召集され新たな首相が決まるまで、1カ月程度はかかります。参院選からここまで1カ月半。政治の遅滞が懸念されます。

 秋は「外交の季節」と呼ばれるように、今年も年末にかけてAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議や日中韓首脳会議、クアッド(米日豪印)首脳会合など、重要な外交日程が詰まっています。ドナルド・トランプ米大統領は米印関係の悪化を受け、インドで開催される予定のクアッド首脳会合への参加を取りやめると伝えられます。一方で、APEC首脳会議(韓国で開催)の前後にはトランプ氏が訪中する形での米中首脳会談の可能性もあります。

 日本が直接かかわるもの、日本を取り巻く国際環境に大きな影響を及ぼすもの、これらの重要日程に日本の新たなリーダーはどのような姿勢で臨むのか。

「解党的出直し」という言葉が自民党の参院選総括や石破氏の発言に頻出しますが、その具体像を描くのは容易なことではなさそうです。日本の政治・外交が価値の基準としてきたアメリカが脱価値的な性格を強め、国際社会にもポピュリズムや権威主義の影響が強まっています。価値を外注した上で、政策の軸足を「権力維持」と「分配」に置くような政治が漂流するのは、派閥というその重要な装置も消えたわけですから、ある意味では当然だと言えるでしょう。

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