米韓首脳会談を乗り越え好発進、李在明「実用外交」の成否を決める「現状追認」の舵捌き
2025年9月10日
現実的な外交路線には、南北融和を求める声への対応という難題もある[ホワイトハウスで会談した李大統領(左)とトランプ大統領=2025年8月25日、アメリカ・ワシントンDC](C)EPA=時事
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が、本格的な外交に乗り出し始めた。8月下旬に東京とワシントンを相次いで訪問し、日米との連携を重視する「国益重視の実用外交」路線を強調した。日米にくすぶる「韓国の進歩派は北朝鮮や中国に融和的なのでは」という不安の解消に焦点を当てた両国への連続訪問を、日本外務省幹部は「好循環だ」と歓迎した。ただ李氏の支持基盤である進歩派には、日米韓の行き過ぎた連携強化は北朝鮮を中露の側に追いやってしまうという懸念がある。南北融和を最優先にした文在寅(ムン・ジェイン)政権の流れをくむ勢力をなだめつつ、現実的な外交路線を維持するという難しいかじ取りが求められている。
米韓首脳会談に「二つの驚き」
8月25日の米韓首脳会談について、東京の韓国大使館関係者は「二つの点で驚いた」と話す。一つはテレビカメラの前で李在明が見せた緊張ぶりだ。ドナルド・トランプ米大統領と対話する間はずっと、椅子に浅く腰掛け、背筋を伸ばし続けていた。もう一つは「共に民主党の大統領なのに、米国を相手に低姿勢に徹していた」ことだ1。民主党の支持基盤である「86世代(80年代に学生運動をした60年代生まれ)」には米国への反感を持つ人がおり、特にトランプの強圧的な態度は嫌われているから心配したけれど、杞憂だったというのだ。どちらも、李在明政権下で初の米韓首脳会談を見つめた韓国政府関係者の思いを代表する感想だろう。
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