第4部 ヴィクトリヤの軌跡(3) 最後の旅
2025年9月25日
独立広場(マイダン)で開かれた追悼集会が終わり、膝をついてヴィクトリヤの柩を見送る人々[2025年8月8日、ウクライナ・キーウ](以下、特記のないものはすべて筆者撮影)
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ウクライナで、ジャーナリズムはどれほど機能しているだろうか。
パリに本部を置くNGO「国境なき記者団」(RSF)は毎年、世界180前後の国や地域の報道の自由度を示すランキング「世界報道の自由度インデックス」を発表している1。権威主義傾向の強い旧ソ連諸国は軒並み評価が低く、特にロシアは2010年代、180前後の国・地域のうち150位前後をさまよっていたが、2022年のウクライナ全面侵攻以降さらに毎年評価を下げた。2024年は全180カ国中162位、2025年は171位に後退し、最下位グループの一角を占めるに至っている。
ロシアほどではないものの、ウクライナもかつては低評価だった。2004年はモーリタニアと並んで138位を占め、140位のロシアとほぼ肩を並べていた。しかし、2010年代に入って次第に評価を上げ、2024年には61位にまで上昇した。2025年は少し下がって62位だが、57位の米国に迫る順位であり、欧州連合(EU)加盟国でもハンガリーやブルガリアを上回る。ロシア・ウクライナ戦争によってメディアに対するオリガルヒ(新興財閥)の影響力が低下したこと、独立系メディアの活動がロシアのプロパガンダや偽情報を凌駕していることなどが評価につながっていると、「国境なき記者団」は説明している。
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