本来、ある国家を承認するか否かは、日本の国益の観点から判断し説明すべき事柄だ[パレスチナの国家承認について記者会見する岩屋毅外相=2025年9月19日、外務省](C)時事

 日本はパレスチナ国家承認を見送った。二国家解決を掲げながら承認を拒む姿勢は矛盾し、実際には米国の意向を優先した判断とみられる。結果として国際社会の多数派から乖離し、信頼低下のリスクを抱えた、と言わざるを得ない。国家承認を見送った理由について、本来は、国益に基づき説明すべきである。日本が中東和平を口実に曖昧な説明を行ったことは、かえって外交的な誤魔化しに映っている。

「二国家解決」を支持する立場との矛盾

 これまでパレスチナの国家承認をしていなかった複数の欧州諸国等が、特にG7構成国であるイギリス、フランス、カナダが承認に動いたことから、日本も承認を検討していた。しかし見送りを決定した。

 岩屋毅外務大臣の説明によれば、パレスチナ国家を承認しても、中東和平につながるとは限らないから、という理由であるそうだ。控えめに言って、理解が難しい理由である。
日本は「二国家解決」を目指すとしている。とすれば、二つの国家を認めるのが、原則的な対応のはずだ。一つだけを認めない状態を続けることに、大きな理由付けが必要になる。

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