移民の声を政治に届ける「統合評議会」の理念と限界
2025年10月1日
ドイツで最も人口の多いノルトライン・ヴェストファーレン州では、110強の自治体に統合評議会が設置されている[同州ミュンスター市統合評議会の会合の様子](筆者撮影)
日本の国会では1990年代から2010年代にかけて外国人への地方参政権付与が議論されたが、いまだ実現の兆しはない。一方、自治体によっては外国人住民が増えたことで、その意見を施策に反映させるための協議機関を設置しているところもある。たとえば、神奈川県川崎市には「外国人市民代表者会議」を設置する条例があり、市政に対して様々な提言をしている。
外国人の意見の政治への反映について統一的な政策はなく、地域によって差が大きいのが現状だ。日本に永住する在日コリアンなどへの地方選挙権付与に関する議論は昔からあるが、外国人労働者や定住する移民の増加が見込まれる中、今後再び議論が求められるかもしれない。
外国人参政権をめぐる現状
オランダやスカンジナビア諸国では1980年代に、地方自治体レベルでの選挙権が外国人にも与えられるようになった。現在、世界で約50カ国が、少なくとも一部地域で、生活に直結する地方レベルの選挙権参政権を外国人に与えている。永住権を持つ住民に付与を限定する国もあれば、より緩やかな条件でも付与する国もある。
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