印パ「ふたつの爆発事件」の背後に浮かぶ「アフガン・ファクター」

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執筆者:フォーサイト編集部2025年11月16日
国境を越えた新たな暴力が広がるのか[前日にイスラマバードの裁判所付近で発生した自爆テロを受け、ラホールの裁判所入り口で身体検査を行う警官=2025年11月12日、パキスタン・ラホール](C)AFP=時事

 インドとパキスタンの市街地で立て続けに起きた二つの爆発が波紋を広げています。詳しくは今回取り上げた米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌の報道をご覧いただければと思いますが、10日にインドの首都ニューデリーの旧市街で起きた爆発では13人が死亡。11日に発生したパキスタンの首都イスラマバードでの自爆テロでは12人が死亡したと伝えられます。

 今年4月下旬に両国が領有権を争うカシミール地方で起きたテロ事件は、印パの大規模な軍事衝突に発展しました。その緊張は依然として継続しており、パキスタンのシャバーズ・シャリフ首相は爆発を受けて、インドの支援を受けたテロリストの犯行だと表明。インドも、ニューデリーの爆発を「テロ事件」と位置づけました。

 ただ、事態の構図は複雑です。シャリフ首相は発言の根拠を示しておらず、同国政府はむしろアフガニスタンの関与を示唆しています(より具体的には、アフガンのタリバン暫定政権と連携しているパキスタン国内の反政府勢力「パキスタン・タリバン運動(TTP)」の関与)。つまり、パキスタンはインドとアフガン双方に非難の矛先を向けています。

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