本当に“日本版トラスショック”は生じないのか
2025年12月3日
高市首相肝入りの補正予算は11兆円を超える新規国債発行をともなう[参議院予算委員会に出席した高市首相=11月14日、東京・永田町](C)新潮社
高市早苗首相が就任して以降、その財政ハト派志向が投資家に嫌気されるかたちで、債券安と円安のトレンドが強まっている。そもそも高市首相は財政ハト派だったが、首相に就任したら現実的な財政運営を志向するかと投資家は期待していた。しかしながら高市首相が20兆円強の補正予算を発表したことで、投資家の期待は裏切られた。
ここでどうしても意識されるのが、同様に強い財政ハト派志向を持ち、大規模な減税を打ち出した結果、金融市場を混乱に陥れた英国のリズ・トラス元首相だ。トラス元首相は代替財源を示さずに大規模減税に踏み切る方針を示したが、投資家はそれに債券・通貨・株式を投げ売る“トリプル安”で応じた。いわゆる“トラスショック”だ。
英国と日本の経済・金融環境は異なるから日本版トラスショックは起きないという主張も聞こえる。確かに、英国と日本の経済・金融環境は異なるが、それは良い意味ばかりではなく悪い意味でも異なる点に注目するべきである。要するに、耳に聞こえが良いところばかりが違いではないのである。
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