モンロー主義のトランプ流「補論」で分断される中南米

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執筆者:フォーサイト編集部2025年12月7日
延期された米州サミットの新たな日程は決まっていない[国連総会に合わせて会談したマルコ・ルビオ米国務長官(右)とドミニカ共和国のルイス・アビナデル大統領=2025年9月24日、アメリカ・ニューヨーク](C)AFP=時事

 米トランプ政権は5日までに、国家権力の方向性を示す「国家安全保障戦略(NSS)」をまとめました。第2次政権では初めての策定です。

 年内にも国防総省も「国家防衛戦略(NDS)」を公表する見通しですが、こちらが脅威評価や軍の運用、同盟調整などの方向性を示す軍事部門の文書であるのに対し、NSSは外交、経済、技術、エネルギーなども含め、広く「国としての生き方」を語ります。NDSはNSSを受けて構築されます。つまりNSSは最上位文書です。そこに込められた政権の哲学は、どのようなものであるのでしょうか。

 ひとことで言うなら、それは「モンロー主義への“トランプの補論(Trump Corollary)”」です。NSSの中にそう宣言されています。

 1823年のジェームズ・モンロー大統領教書で表明された、欧州列強による西半球(アメリカ大陸)への干渉・植民を拒否し、米州の安全と秩序は米国が守るとする外交の基本原則が「モンロー主義」。20世紀に入り。そこにセオドア・ルーズベルト大統領が「ルーズベルトの補論(Roosevelt Corollary)」と呼ばれる拡大解釈を施しています。

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