日本側がくり出す緻密な法律論は、中国を煙に巻くための戦術と見なされている可能性は高い[台湾・金門島からも見えるように設置された「一国二制度・中国統一」の宣伝スローガン=2024年1月12日、中国・福建省厦門](C)AFP=時事

 高市早苗首相は、11月7日、国会において台湾有事の際の日本の軍事的な関わりを具体的に説明した。これに対し中国側は厳しく反応した。13日、外交部の孫衛東副部長が金杉憲治駐中国大使を招致し、高市首相発言が「台湾海峡の問題に武力介入する可能性をほのめかした」と批判し、厳重に抗議するとともに発言の撤回を求めた。14日、呉江浩駐日大使は船越健裕外務次官に対し「中国のレッドラインを越え、武力による威嚇を行った」と抗議し、「中国の内政に干渉し、…『1つの中国の原則』1と4つの政治文書2の精神に違反し、日中関係の政治的基礎を破壊した」と批判した。何故こういう反応になるのか不思議に思われる向きも多いであろう。歴史をひもときながら解説してみたい。

「1つの中国の原則」と激しくぶつかる台湾の安全問題

 1つは、日米は1970年代に中国と国交正常化をしたときから台湾問題をめぐり大きな矛盾を抱えており、それが今回、表に出たということである。

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