欧州航空産業編[中]:防衛「脱・米国依存」の象徴「FCAS」に崩壊危機
2025年12月15日
独仏はFCASプロジェクトについて戦闘機の共同開発を中止する方向とみられる[公開されたFCASの次世代有人戦闘機(実物大模型)=2023年6月20日、フランス・パリ近郊のル・ブルジェ空港](C)AFP=時事
モザイク状に入り組んだ欧州航空産業界に新たな亀裂が生じた。
11月17日、英フィナンシャル・タイムズ紙はドイツ・フランス両政府が共同で取り組んできた将来戦闘航空システム「FCAS(Future Combat Air System)」の開発を中断する高官級協議を始めると報じた。
総事業費1000億ユーロ(約18兆円)規模とされる次世代戦闘機設計・製造の役割分担などを巡り、かねてフランス側のダッソー・アビエーションとドイツ側のエアバス・ディフェンス&スペース[D&S、独ミュンヘン近郊に本社を置くエアバスの防衛・宇宙部門、旧DASA=ダイムラー・ベンツ・エアロスペース=などが合併を繰り返し2014年に発足]が対立していたが、独仏両政府は両社の関係が修復不可能と判断。共同プロジェクトを「戦闘クラウド(Combat Cloud)」と呼ばれる指揮統制システムの開発のみに縮小する方向へ舵を切るとみられる。
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