長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、巨大地震の予測とその課題について、東京大学大学院理学系研究科教授の井出哲氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。
信頼できる「前兆」は存在しない
——昔から世界中で地震の予知や予測に関する研究が続けられています。
「まず、『予測』とは、確率的なものも含め、将来の現象を定量的に評価することです。確度の高低は置いておいて、統計や物理モデルを用いれば、地震の予測は可能です」
「一方、社会が期待している地震の『予知』は、ごく短い時間スケールで『ここで間もなく大地震が起きるから避難してください』と警報を出せる精度のものだと思いますが、現在の科学のレベルではほぼ不可能と言っても構わないくらい難しいと考えられています」
——地震予知が難しい理由とは?
「物理学的に言えば、地震現象は非線形性(※)が非常に強い、という点が挙げられます」
(※)非線形性:ある時点での変化率だけでは将来が予測できないという性質
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。