長野光と関瑶子のビデオクリエイター・ユニットが、現代のキーワードを掘り下げるYouTubeチャンネル「Point Alpha」。今回は、近年になって初めて観測されたSSEとそれに伴う微振動の総称であるスロー地震について、東京大学大学院理学系研究科教授の井出哲氏に話を聞いた。 ※主な発言を抜粋・編集してあります。
SSEとは「ゆっくりとした断層のすべり」
——最先端の地震研究の中で「SSE」という言葉を耳にします。これはどういう現象でしょうか。
「地震とよく似た地下の岩盤の破壊すべり現象で、プレート境界でしばしば観測される『ゆっくりとした断層のすべり』です。通常の地震が強い地震波を放出して地面を揺らすのに対し、SSEは地震波をほとんど出しません」
「SSEに伴い、小さな揺れが地上で観測されることはありますが、震災を伴うような強い揺れを直接引き起こすものではありません」
——エネルギーで表すと?
「マグニチュード7程度に相当するSSEが起こることも珍しくありません。通常のマグニチュード7クラスの地震といえば、阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震を連想します。しかし、SSEは揺れが小さいまま地下で変形が進むため、同じ規模でも社会的な直接被害はほとんど出ません」
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