記者会見で非核三原則堅持の政府方針を改めて表明した木原稔官房長官[2025年12月19日午前、首相官邸](C)時事
首相官邸の幹部が個人の見解として「日本は核兵器を保有すべきだ」と発言した問題について、中国、ロシア、北朝鮮の当局発表を別にすれば、海外の反応は限定的です。オフレコ前提の取材とはいえ、日中関係が緊張する中で政府高官がこの“発信”をしたことは軽視されるべきではありませんが、海外メディアの多くは日本政府が非核三原則の堅持を再確認したと伝えて報道を一区切りしています。
ただ、それは日本の核武装を絵空事と見做すからではなく、むしろ議論自体はさして珍しくないからだと思われます。日本や韓国の核兵器保有は、アジアの厳しい安全保障環境や米国の拡大抑止の行方と一体になって、すでに何度も議論の俎上に載せられています。たとえば、故ヘンリー・キッシンジャー氏は「日本は5年以内に核保有国になる」と2023年に語っています。直近でも、シンガポールの元外務次官であるビラハリ・カウシカン氏がこの問題について日本で講演した内容が、「フォーリン・ポリシー(FP)」誌に抜粋記事として出ています。
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