「非常戒厳」捜査をテコに進む李在明政権「司法改革」の不穏
2025年12月22日
大統領選を間近に控えた今年5月には、最高裁が李在明氏(中央)の公選法違反裁判について2審無罪判決を破棄する一幕もあった(C)EPA=時事
韓国での非常戒厳騒ぎから1年となった12月3日、李在明(イ・ジェミョン)大統領が国民向けの特別声明をカメラの前で読み上げた。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による突然の戒厳宣布は、国会による解除要求決議案の可決によって終息した。李氏は一連の経緯について「逆説的ではあるが、国民の高い主権意識と大韓民国民主主義の驚くべき回復力を世界に知らしめた」と自賛した1。ただ、李政権与党によって進められている司法制度改革を見ていると、単純に韓国の民主主義を礼賛してばかりはいられない。むしろ民主主義の危機に陥りかねないという危惧を抱かざるをえないのである。
現与党の「一方的な権限行使」も批判された尹大統領罷免
まず明確にしておくべきなのは、戒厳令には一片の正当性も見出しがたいということだ。韓国憲法は非常戒厳の発動要件を「戦時やそれに準じる国家非常事態」に限定している。それと関連して尹氏は、北朝鮮を挑発して武力衝突を引き起こそうと画策した罪でも起訴されている2。昨年10月頃に韓国軍のドローンを平壌上空に飛ばして体制批判のビラをまくなどしたというのだが、事実であるとすれば、言語道断としか言いようがない。
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