日本のアニメやアーティストなども、コンテンツ産業を成長の柱の一つに据える中国には目障りな存在かもしれない[日本の人気キャラクターの前で写真を撮る人々=2025年12月19日、中国・北京]AFP
出口の見えない日中関係
高市早苗政権下の日中関係は、10月31日に慶州で行われた首脳会談で「戦略的互恵関係」の推進を再確認し、順調なスタートを切ったように見えた。ところが翌日、APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議で台湾代表と会談したツーショット写真をSNSに投稿、さらには記者会見で新疆ウイグル問題にコメントしたことが習近平政権の気に障り、早くも雲行きが怪しくなり始めていた。ただ、その直後に筆者が出張した上海では、中国政府の反応がいつになく厳しいという指摘はあったものの、中国側に当初の抗議以降は目立った動きがないため、時間が解決してくれるのではないか、というムードが支配的であった。
周知の通り、日中関係が急速に悪化したきっかけは、11月7日の高市首相による台湾有事を巡る国会答弁である。13日には中国外交部が金杉憲治駐北京大使を呼び出し強く抗議したうえで高市答弁の撤回を要求。以降、日本への渡航を当面控えるよう注意喚起、留学の慎重な検討を求めたほか、邦画2本の公開延期や水産物輸入の事実上の停止など、いわゆる経済的な威圧が相次いだ。その頃、こうした中国の動きの背景として外交筋などから聞かれたのは、面子を潰された習近平国家主席が日中首脳会談を提言した中国外交部を厳しく叱責したこと、そして責任問題への発展を恐れた外交部の提案する対日強硬策を習主席承認したらしいということである。
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